野本勝次84歳、肺に空気がたまり、手術を受け、現在入院中。今日、「明日退院するっ」て言い張ってたけど本当か。
昨日、今日と暇つぶしに寄ってきた。うまく面白い話を聞き出せれば本当にいい暇つぶしになるから、おじいちゃんの見舞いはやり方しだいでとても楽しくなるのだ。
勝次30代(予想)の頃の話を聞きだした。
何とかして金を稼ぎたかった勝次。まっとうな職には不向きな性格だった。当時、熊谷に住んでいた勝次は、足しげく浅草に遊びに行っていた。ある日、浅草で回転木馬の興行を目撃。これだ!と思った勝次、地元に帰り、ある知り合いには駆動系を、もう一方の知り合いには木馬の方を、それぞれ作ってもらい、大きな(勝次が言うには「一般病棟の病室の半分程」の大きさ)移動式回転木馬小屋を作った。車と馬とそれぞれ50万円ずつかかった。当時としてはなかなかの大金だ。金は手持ちの金と足りない分は知り合いを頼ってまかなった。
移動式回転木馬は関東周辺を回って興行した。埼玉の蕨市で興行したとき地元の組員に稼ぎを取り上げられそうになったが、必死で食い下がったところ、組員から免許をもらい、以来その効力の下で興行することができた。一度の興行で50万は稼げた。「楽しかった。」と懐かしむ一方、「家族の事は考えていなかったかもなぁ」とも振り返る。
そんな中で、千葉で興行したときのことが最も印象に残っているそうだ。このとき喜代司、俺のおやじ、がやっと歩けるようになった頃で、ある日勝次が回転木馬の興行の準備をしていると、手順を覚えていたのであろう、喜代司がひとりでに準備を手伝い出した。それが84歳になった勝次の思い出。
そんな勝次と喜代司も今となっては喧嘩ばかりしている。全然深刻じゃない!本人達は大真面目にやってるけれど、はたから見たら「昼ドラ」である。
「てめぇ!よくもまぁそんなことが言えたもんだ!てめぇなんか俺の子じゃねぇ!」と勝次。「あ!?あーもうボケちゃったんだべおめーは!?そんなこと言ってる暇があんなら自転車の一つでも捨ててくんだなぁ!」と喜代司。「あ!?なーに言ってんだか聞こえ…」と勝次言いかけるが、「んじゃあ俺が捨ててくるか自転車!なあ?そうすんべ!」と喜代司たたみかける。熱血勝次と屁理屈喜代司。
家族は大笑い。
勝次をリビングから追い出す喜代司。でも喜代司もすぐにいたたまれなくなってかぶつぶつ言いながらどっかいく。
家族は大笑い。
うち全員O型。みんな勝手。いまのところ平和。
勝次が言った。「おじいちゃんが生きてるうちにお前の眼鏡くらいは作らねぇとなぁ。」
そうだなじいちゃん。
あなたの思い出話だけで十分俺には眼鏡になりえてるけど、まぁ、まだやりたいならいろいろやってくれぃ。
昨日、今日と暇つぶしに寄ってきた。うまく面白い話を聞き出せれば本当にいい暇つぶしになるから、おじいちゃんの見舞いはやり方しだいでとても楽しくなるのだ。
勝次30代(予想)の頃の話を聞きだした。
何とかして金を稼ぎたかった勝次。まっとうな職には不向きな性格だった。当時、熊谷に住んでいた勝次は、足しげく浅草に遊びに行っていた。ある日、浅草で回転木馬の興行を目撃。これだ!と思った勝次、地元に帰り、ある知り合いには駆動系を、もう一方の知り合いには木馬の方を、それぞれ作ってもらい、大きな(勝次が言うには「一般病棟の病室の半分程」の大きさ)移動式回転木馬小屋を作った。車と馬とそれぞれ50万円ずつかかった。当時としてはなかなかの大金だ。金は手持ちの金と足りない分は知り合いを頼ってまかなった。
移動式回転木馬は関東周辺を回って興行した。埼玉の蕨市で興行したとき地元の組員に稼ぎを取り上げられそうになったが、必死で食い下がったところ、組員から免許をもらい、以来その効力の下で興行することができた。一度の興行で50万は稼げた。「楽しかった。」と懐かしむ一方、「家族の事は考えていなかったかもなぁ」とも振り返る。
そんな中で、千葉で興行したときのことが最も印象に残っているそうだ。このとき喜代司、俺のおやじ、がやっと歩けるようになった頃で、ある日勝次が回転木馬の興行の準備をしていると、手順を覚えていたのであろう、喜代司がひとりでに準備を手伝い出した。それが84歳になった勝次の思い出。
そんな勝次と喜代司も今となっては喧嘩ばかりしている。全然深刻じゃない!本人達は大真面目にやってるけれど、はたから見たら「昼ドラ」である。
「てめぇ!よくもまぁそんなことが言えたもんだ!てめぇなんか俺の子じゃねぇ!」と勝次。「あ!?あーもうボケちゃったんだべおめーは!?そんなこと言ってる暇があんなら自転車の一つでも捨ててくんだなぁ!」と喜代司。「あ!?なーに言ってんだか聞こえ…」と勝次言いかけるが、「んじゃあ俺が捨ててくるか自転車!なあ?そうすんべ!」と喜代司たたみかける。熱血勝次と屁理屈喜代司。
家族は大笑い。
勝次をリビングから追い出す喜代司。でも喜代司もすぐにいたたまれなくなってかぶつぶつ言いながらどっかいく。
家族は大笑い。
うち全員O型。みんな勝手。いまのところ平和。
勝次が言った。「おじいちゃんが生きてるうちにお前の眼鏡くらいは作らねぇとなぁ。」
そうだなじいちゃん。
あなたの思い出話だけで十分俺には眼鏡になりえてるけど、まぁ、まだやりたいならいろいろやってくれぃ。