湖、
ていうかたぶんあれは、
水城公園の一番大きい池だった。
その上を飛んでいて、
といっても、着水する直前で、
足が水面すれすれのところにあって、
そしたらいつのまにか水の中に入っていて、
水の中は海みたいに深くて、
でも波はほとんどないからやっぱりここは水城公園の池だ、と思いながら、
ちょっと寒い、と思いながら、なんとなくふらふら立ち泳ぎをしていた。
曇っていた。グレーな感じだった。
頭上を何かが通り過ぎた。
黒いスーツを着て、背中にプロペラのついたエンジンを背負って、大きなパラシュートに吊られて、
パラセーリングをしていた。
パラシュートの帆と紐が蛍光色の黄緑色で、グレーの世界の中でやけに目立っていた。
いつの間にか視点が変わって、その人を、上から見てた。
池の上をよちよちした感じでその人は飛んでいた。
どうしてもうまく飛べないようだった。
水面すれすれをふらふらしていた。
道路脇の柳の木にぶつかった。
パラシュートがからまった。
でもすぐにふわふわっと木から外れて、また飛んだ。
池の真ん中あたりまできて、バシャっと落ちた。
水面にパラシュートが漂って、池に蛍光塗料をぶちまけたみたいになっていた。その様子が奇麗だった。
再び僕は水の中にいた。
目の前に、パラセーリングをしていた人がスーツを着たまま、水に漂っていた。
おじさんだった。だれかは分からなかった。深谷市議のミルクおやじだったようにも思う。
満足そうに笑っていた。
別のだれかが横を泳いでいくのが見えた。
振り向くと、太った中年の女性が二人、こっちを見て笑いながら泳いでいた。
欧米人のようだった。黒い水着とクリーム色の水泳帽を付けて、ビート板を使って、バタ足で泳いでいった。たぶん映画で見た１９５０年代のアメリカの女性のイメージだった。