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忍町(おしまち)というのは造語です。アートイベント「忍町アートギャラリー」の企画会議の中で、行田市の中心市街地を指す呼び名として、ひこうせん副理事長の斉藤さんが提案してくれました。言わずもがな、忍城、忍藩の忍から引用しています。
僕たちが忍町と呼ぶこのエリアは、行田の観光資源の一つである足袋蔵が多く残っている地域です。近年はNPO法人足袋蔵ネットワークなどを中心にこの足袋蔵の利活用が進められてきています。映画『のぼうの城』が全国公開される少し前くらいから、行田市も本格的にこの地域の「活性化」を掲げた活動をするようになってきたように感じます。例えば、都市計画課が主催した「まちにぎ(まち並み・にぎわい)ワークショップ」https://www.city.gyoda.lg.jp/…/machinigi.htmlでは外部から招いたコーディネ…、主婦、商店主など有志市民が集まって、この中心市街地の活性化をテーマに議論を積み重ねました。往々にして「旧い」と言われる行田にあって、なかなかに画期的な取組みだと思いました。
そういった取組みの効果については、現状ではまだその効果は現れていないように感じます。今はまだ固まった地面の開墾中といった段階だと思います。地面が軟らかくなってそこに新しい芽が育つまではまだまだ時間が必要です。一人でも多くの人を巻き込みながら一言でも多くの意見を積み重ねていかなければいけないと思います。
行政主導の大きな取組みの一方で、地域の人達がそれぞれ個別に行っている活動の方も当然あります。それらは1つ1つは小さい規模であっても着実にこの地域を変化させてきていると思います。
ここ数年で、パン屋、カフェ、ラーメン屋、雑貨屋などが開店しました。どれも個人経営の小さなお店です。開店のペースも矢継ぎ早にというわけではなく、平均すれば1年に1軒くらいののんびりしたものだと思います。これらのお店はどれも店主の個性が反映された個性的なお店で、それぞれのお店に一定数のファンがいて、それぞれ特徴的な雰囲気とともに地域に根付いています。
興味深いのは、そういった近年新しく生まれてきたお店には、市内だけでなく市街や県外などいろいろなところからお客さんが来ていることです。これまでこの地域にあったお店はその反対で、基本的に近隣住民を主なターゲットにした商売をしていたように思います。新しく生まれてきたお店は、もちろん店主の地縁や血縁に依拠する客層はあるにしても、それと同じくらいか又はそれ以上にその店の「味」や「雰囲気」や「スタイル」などに惹かれて来店する客層に支えられているように思います。地元の人ではない人が行田に来ることも増えています。「よそもの」が出入りすることをきっかけにこのエリアのバージョンアップが少しずつでも進んでいけばいいと思います。
行田の中心市街地である忍町は、市内でも人口減少率と高齢化率の高いエリアです。かつては日本一の足袋の街だったことの余韻がまだわずかに残っているのか、このエリアの土地の値段はまだそこそこ高く、店舗の家賃も高めです。店が減り、活気もなくなった商店街よりも、土地が安い郊外に新築のマイホームを購入する世帯が増え続けています。歯がゆいことに、身体的には余裕があって経済的には余裕のない若い世代ほど郊外への移住が進み、その逆の状態である高齢者は昔のままに留まるため、人口減少と高齢化は進むばかりです。
この現状を「衰退だ」と言う声は、まちを歩くとそこかしこから聞こえてきます。それはまったくその通りだと思います。ただ、率直に言って僕はそれはもう聞き飽きました。なにしろもう20年以上に渡っていろいろな人達から聞かされ続けているのですから、聞き飽きるのも無理はないと思います。嘆いていても解決にはなりませんし、悲観的になっているのは見ていて楽しいことでも面白いことでもありません。
確かに人は減少し続けているし、商売をやめる店は増え続けています。全体の数字で見ればその流れはこれからもしばらく続くと思います。でも上述したように新しいお店も生まれています。新しく住み始める人もゼロではありません。もちろんずっと継続しているお店だってあります。それぞれの場所にはちゃんと活気もあります。行田市全体を眺めるような距離からではまだその活気は見えないけれども、そのお店の中に入ればそこには全然違う空気が流れています。
僕はずーっとこの地域の中で活動しているので、その変化をとても実感しています。今はまだ当事者たちの間でしか共有されにくい変化だから、外から見れば単に衰退しているように見えるかと思いますが、その渦中にいれば今ほど面白いときはないのではないかと思うくらいです。何もしなければ間違いなく消滅する、ということが目に見える形でわかる現状は、ある意味分かりやすい状況だし、何かを試みるためにはむしろ良い機会です。
だから、何かやってみたい人はぜひ行田へ。今面白いですよ。
今後10年は、この行田の中心市街地=忍町が様々に変化していく時期になると思います。

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野本翔平

埼玉県行田市生まれ、在住。中央小学校→忍中学校→熊谷西高校(普通科)→専修大学文学部哲学科卒。2005年にパフォーマンスアートを知り、自身もパフォーマンスアーティストとして活動を開始。国内外で作品発表。2008年から地元行田市を拠点に活動。近所のパン屋さんで毎月1回アートイベントを開催し、現在も継続中。地元で活動する中でもっと行政と深く関わる必要性を感じ、2011年4月の行田市議会議員選挙に立候補するも次点で落選。2012年から地元の若者たちとともに地域の芸術文化振興を目指す市民団体「SEED」(行田市市民公益活動登録団体)を結成。現在も精力的に活動中。
<所属団体など>
アーティストグループbug-depayse(2007-)、埼玉県立近代美術館主宰SMF(SaitamaMuseForum)(2008-)、ささやかな政治活動をする会(2011-)、熊谷ヤバイラジオ(2011-)、SEED(2012-)。

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